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自由気ままに作った1/24カーモデルの資料とまとめ

購入キットよもやま話:タミヤさんのアルシオーネ

Category: 購入キットよもやま話 > (株)タミヤ  Tags: キットレビュー  (タミヤ)  
タミヤ アルシオーネ レビュー1


24年後の亡霊。 
今回レビューするのはタミヤさんの初代アルシオーネでございます。

実車が登場したのはバブル景気前夜の1985年。
市販車にCD値という概念を持ち込み、更に日本車史上初の値0.30を突破、名実共にスバルのフラグシップモデルとしてリリースされたものの、今迄の日本車デザインではあまり見る事の無かった80年代レトロフューチャーを随所に盛り込んだ外装と、元々航空機からの系譜を持つ富士重工業の個性を前面に押し出したコックピットを彷彿とさせるインテリア等が当時あまりにも前衛的で国内販売はズタボロ。
開発当初から北米市場に照準を絞るも、発売直後のプラザ合意による急激な円高で販売力が低下、急遽付け焼刃的に投入せざるを得なかった6気筒モデルも実際にリリースできたのは2年後で時既に遅しと、この後80年代後半のスバルの市場感覚を掴めず右往左往してたヤバさを皮肉にも体現するような、ある意味象徴的なモデル。
挽回を期してフルモデルチェンジしたアルシオーネSVXもバブルが弾けて振るわずに終わり、富士重工最後の切り札として絞り出した「遺産」の意味を込めたレガシィが歴代アホみたいに当たってバカ売れしたのはもうちょっと後のお話。

そんな今ではプラモでリリースされるかも微妙なクルマが1/24キットとして、ましてやあの世界のタミヤから実車発売直後の同85年に発売していたのは、ちょっとした奇跡みたいなもん。
後のレガシィが発売された、私が小学生当時ですらスバルのイメージは、主に軽自動車市場で過去に360・R-2・サンバーと名車を輩出しながらも、失礼ながら芋っぽさの残る実用性重視のデザインや機構のクルマっていう大方の印象がありまして、それらに囚われずに後年エポックメイキングとなるであろうという企画担当者の先見の明と英断があったからこそのモデル化とも言えますし、勿論今よりもクルマのプラモはまだ売れていて、更にはバブル前の好景気やディスプレイモデルへの変革等、様々なタイミングが重なったのもあったうえでの、後にも先にもこの時期にしか発売するチャンスは無かったんじゃないかとも思えるのですよ( ・ω・)

しかし実車の販売も振るわず、知名度も年々低下していく中でプラモだけが売れるなんて虫がいい話は無く、早々にタミヤ1/24スポーツカーシリーズから棚落ちし、85年の初版のみの生産で以降は長らく絶版。
ちなみにバリエーションとして内装上げ底モーターライズキット(パッケージイラストの車体が白色のやつ)もリリースされていましたが、同時に絶版となっています。

……んでんで時は別に遡り、私が小学5年生だった1993年。
当時山口県在住でまだ毛も生え揃っていない、クルマのプラモを作り始めて間もない純朴な少年が、父に連れて行ってもらった先の模型店の棚で邂逅したのがこのキット。
既に初版から8年が経過していましたが、ド田舎の模型店だったのもあって店頭在庫がまだ残っており、先述のモーターライズ版の方も残ってたんですよね。

当時からスーパーカーやレーシングカーより市販車の、それも出っ歯竹槍や最高速やドリ車なんかの弄り倒した変わったクルマが好きだった私が、当時ですら街中で見たこともないノーマル変態車に引き寄せられ、買ってもらって接着剤でベタベタにしながら速攻で作りつつ、「何か変なクルマだなぁ……」とやけに印象に残ったクルマの一つ。

その後その個体は暫く保管していたものの、高校生の時にあえなく廃棄。
高校卒業後にまた本格的にプラモを趣味としてから改めて作ろうとキットを探したら、邂逅するより以前に既に絶版になってた事を知り、以来破棄した罪悪感とキットを買いたい・作りたい欲求に身を捩じらせながら更に17年が経過。

全体の購買年齢層が高くなってきた為か近年では70・80年代のクルマにもスポットライトが当たり、新規リリースも盛んになってきた中で、タミヤさんもシリーズ黎明期のキットを次々に再販。
1985年以降全く再版も無く語り種にされていたアルシオーネも2017年に再販され、何とかトータル24年越しの思いを叶えることができたのでした。


タミヤ アルシオーネ レビュー2


実際は廃棄した個体も接着剤がハミ出しまくりでまともにレストアできる状態ではなかったんですが、手元に有るのと無いのとでは精神衛生的に全く違い、仮に捨てるにしても出来ればキットを確保してからでも遅くはないという事を経験者として語っておきます(;^ω^)

なお2017年の再販ではどうやら投機目的の複数買いもあったのか、久しぶりの再生産で注文が殺到し、予約数だけでも事前の生産数をオーバーしたようで納期の遅れも一部発生。
店頭販売も大手は約1週間で売り切れ、2019年現状では店頭在庫のみ、それも地方部の個人模型店さんに残るのみとなっています。

勿論私もあれほど執念がありながらここまでの状況になるとは予期しておらず、軽く涙目で各ネット店舗を調べているうちに、@中古絶版模型堂さんで初版当時ものを何とか手に入れたという危なっかしさ。
なので手元のは再販品ではなく所謂小鹿キットとなり、生産年度で考えれば24年どころか32年越しのご対面。
一緒に購入したトゥデイのレビューでも触れたような経緯で、結果的にはパーツ一部脱落・デカール切り離しの状態として再販品の定価よりもお安く手に入れられ、気兼ねなく作れそうなのは何だかんだでお得だったのかなと(;^ω^)
にしても言い換えれば「再販で底値になった当時ものを買い叩いた」とも受け取れる訳で。
然るにやはり絶版ものは一期一会、10年20年越しになる事もあり、このキットが手元に来た意義ってもんもあるんでしょう。



タミヤ アルシオーネ レビュー3

タミヤ アルシオーネ レビュー4


クソ長い道程話はこれくらいにして(いやまぁ個人的には8割がこれで語れたようなもんなんすけど)、内容をみていきましょう。

同年代に発売された同シリーズキット群と同じような、モーターライズからディスプレイモデルの移行期において部品点数を極力少なめにして手に取りやすいように構成された設計理念が垣間見える、フロントスポイラーやサイドステップ、更にスバルマークやリトラクタブルヘッドライト・テールランプ以外のランプ類も全て一体成型で表現されたボディとなっています。

ボンネットのエアスクープは別パーツ化され、ボディ裏に切り取り用の溝が入っており、米国仕様では取り付けないとの説明書指示。
んでもたまーに左ハンドルでもエアスクープが付いてる個体あるんすけど、そこら辺はどーなんざんしょ。
ちなみにNAの2.7VXだとバンパー形状が違うので当時のバリエ企画としての可能性は低いでしょうな。


基本寸法に関しては全長・ホイールベースが-1.0㎜、全幅+1.0㎜とほぼほぼ適正。
フロントナンバーの厚みで1.0㎜ぐらいは延びるんでしょうww

手に取ったフォルムの印象としては、ちょっと屋根が低すぎるかなーって感じ。
フロントとサイドから見た時がよりそう感じさせますね( ・ω・)


タミヤ アルシオーネ レビュー5


リトラクタブルライトは可動式。
手元のがボンネットエアスクープっすね。


タミヤ アルシオーネ レビュー6


シャーシとダッシュボードのBランナー。
一応右ハンドル・左ハンドル選択式となっています。


タミヤ アルシオーネ レビュー7


足回りは前後シャフト式となっていて、シャーシ全体に関係する別パーツもマフラー・フロントメンバー・ミッションマウントのみの超簡素な構成。
リア足回りに関してはシャフトを通すのみ。
それでもシャーシの各部モールドは細部まで再現されていて精密さを感じさせるのは流石のタミヤといったところでしょうか。


タミヤ アルシオーネ レビュー8


逆にダッシュボードはかなりあっさりとした印象で、スイッチパネルのモールドも浅め。


タミヤ アルシオーネ レビュー9


主に内装とかのAランナー。

左上のステアリングの直角変形2本スポークは三菱初代ギャランΛ・5代目ギャランΣの1本スポークと双璧をなす、国内三大純正変態ステアリングに個人的に認定。


タミヤ アルシオーネ レビュー10


キャビンはドア内張りも一体成型のバスタブ形状。
ドア内張りは金型の抜けの関係で複雑に出来ないのはしょうがないにしても、センターコンソール、更にはサイドブレーキまで一体成型の潔さ。
でもガングリップ形状のシフトノブは流石に抜けず別パーツ。

VRターボだとATとMTがありますが、キットではMTが再現されていますね。


タミヤ アルシオーネ レビュー11


シートはこんな感じ。
真ん中にあるステッチ模様は内装色に応じて2種のデカールでの再現となっています。

一つ前の画像の右下にも写っているように裏側は抜けているので作製時には蓋をする必要あり。


タミヤ アルシオーネ レビュー12


フロントメンバーパーツも結構細かいモールドが色々入ってて好印象。
仮にステア可能に加工するとしても、ロアアームは強度・精度的にもベースとして問題なさそうですな( ・ω・)


タミヤ アルシオーネ レビュー13


クリアパーツのEランナー。

リトラ用ヘッドライトとテールランプ、ガラスパーツのみの超あっさり構成。
ウインカー・ガーニッシュを含むテールランプの異様な細さもこのクルマの特徴っすね。


タミヤ アルシオーネ レビュー14


ホイールのDランナーと前後シャフト・ポリキャップが一緒に入ったタイヤ小袋。

ホイールは実測14.5インチサイズでちょい大きめ。
それでもサイズはそんなに気になる程でもなく、でも中心にあるSUBARUの文字はモールドもデカールも用意されてないので、気になる方はジャンクから持ってくるなり自作するなりしかないようですな。

タイヤサイドウォールの刻印は"ASPEC"のみ。
タミヤトゥデイと同じく察するにヨコハマタイヤ製品だと思うんですが、ブランド名表記等他にはなく、金型も別物ですね。


タミヤ アルシオーネ レビュー15


そして最後に説明書とデカールで全パーツ。
メーターパネルデカールも2種から選べるようになってます。


初代アルシオーネの1/24プラモデルはこのキットが唯一。
良くも悪くも非常にアクの強いデザインで人々の記憶に残り、実車も昨今再評価され始めた80年代前半車としてコアでマニアな方々だけでなく、ゆくゆくは時代の郷愁として存在が昇華していくクルマとなる事でしょう。
国内販売数は約8000台、オーナーズクラブの方の話によると近年の現存台数は約250台程度との事で、そんな絶滅危惧種レベルのクルマのプラモが存在し自由に作れるってのはエンスージアストでなくとも非常に貴重な経験だとも思うのですよ。

少なくとも私はこのキットを手に入れた事で当時の色々な思い出が沸き上がると共に不思議な安堵を感じます。
プラモってのは作り上げるだけが至上ではなく、キットを手元に所有するだけでも価値のある存在であり、そしてそんなキットがまたもっと後年増えていくと良いなーと、このキットを手に取って改めて気付かされた次第でありますね( ´ω`)
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テーマ : 模型・プラモデル    ジャンル : 趣味・実用

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さんさんろく

Author:さんさんろく
変態ドリ車好きのへなちょこアマチュアカーモデラー。
インスピレーションのままに、好き勝手に作っております。



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